昨日の内容と重複する部分もありますが、問い合わせが多い内容なのでもう少しだけ詳しく書いてみます。
最後までご覧ください。
インサートナットの取り付け方法には、以下の3つの主要なタイプがあります。
それぞれの方法の詳細、メリット、デメリットについて説明します。
1. 同時成形用インサートナット
同時成形用インサートナットは、プラスチックの成形時に金型にセットされ、成形過程でプラスチックが流れ込み、ナットが一体化される方法です。
特徴:
- 高い強度と一体性:成形時にプラスチックと一体化するため、非常に高い強度と耐久性を持ちます。
- 振動や衝撃に強い:インサートナットがプラスチックに深く埋め込まれ、振動や衝撃に対する耐性が高いです。
- 優れた美観 :材質に関わらず、樹脂漏れや天面の隙間が発生しにくく、綺麗な仕上がりになります。
具体的な手順:
- 金型にインサートナットをセット。(人やロボットアーム)
- プラスチックを金型に注入し成形。
- プラスチックが固まると同時に、インサートナットが一体化される。
メリット:
- 高い固定力 :インサートナットが一体化されることで、非常に高い固定力を提供。
- 工数が少ない :成形工程中にインサートナットをセットするため、成形後圧入作業が不要。
- 下穴設計が不要 :金型ピンに差し込むだけなので、後圧入用で重要になる”下穴径”の設計が不要。
- 複雑な形状に対応:強い周り止め形状や引き抜き強度に耐えられるインサートナット形状が使用可能。
デメリット:
- 人が機械に固定される:金型にインサートナットをセットする作業者が常に必要になります。
- 成形速度が遅い :インサートナットをセットする間は成形が止まるので、量産ではここがボトルネックになります。
- 内径に要注意 :同時成形専用インサートナットを使用しますが、内径は金型ピンに合わせて製作することが品質を上げるポイントになります。メーカーに発注する際は、必ず金型ピンサイズを伝えてください。
- 底割れに注意が必要 :袋形状の特注インサートナットで多い事案で、底の肉厚を薄くしすぎると成形時の圧に耐えられず底が割れてしまうことがあります。インサートナット設計時の全長寸法はドリルの先端尖り寸法も考慮する必要があります。無理があると製品コストにも大きく影響します。
2. 成形後圧入用インサートナット(アウトサート)
成形後圧入用インサートナットは、成形後のプラスチック部品に圧入する方法です。これには、熱圧入と冷間圧入の2つの方法があります。”アウトサート”とも呼ばれます。
特徴:
- 多様な素材に対応:熱可塑性樹脂のさまざまな素材に対応可能しています。
熱硬化性樹脂の場合は拡張式インサートナットを使用します。
具体的な手順:
- プラスチック部品に適切なサイズの下穴を設計する。(重要ポイント)
- インサートナットを所定の位置にセット。
- 熱圧入:加熱したナットを下穴に挿入し、プラスチックを溶かしながら圧入。
- 冷間圧入:常温のナットをプレス機やハンマーで圧入。(非推奨)
メリット:
- 成形時間の短縮 :金型へのインサートナットのセットが不要なので、成形段階での生産速度が早い。
- 設計の自由度が高い:金型にインサートナットを取り付けることを考えなくて良い。
デメリット:
- 熱圧入には設備が必要:熱源を使用するため、専用の加熱装置が必要。
- 固定力がやや低い :同時成形法に比べて固定力が低い場合がある。
- ロスの確率が上がる :手動作業の場合、1箇所でも失敗すればワーク自体がNGとなってしまう。
また、樹脂漏れ、斜め圧入、圧入高さの過不足等が発生する可能性がある。 - 結果がばらつく :手動で圧入するので、品質のばらつきが避けられない。
これにより、すべての圧入箇所で強度が変わってしまいます。
3. 冷間圧入用インサートナット
冷間圧入用インサートナットは、成形後のプラスチック部品に常温で圧入する方法です。特別な熱源を必要とせず、簡便に取り付けられます。代表的なインサートナットに「ダッヂインサート」があります。
特徴:
- 特別な設備が不要:熱源を必要とせず、常温での圧入が可能。
- 簡便な取り付け:軽プレスやハンマーで拡張板を押し下げる圧入が一般的で、取り付けが簡単。
具体的な手順:
- プラスチック部品に適切なサイズの下穴を成形しておく。
- インサートナットを所定の位置にセット。
- 軽プレスやハンマーを使ってナットを圧入。
メリット:
- 設備投資が少ない:特別な設備を必要としないため、コストを抑えられる。
- 迅速な取り付け:簡便で迅速に取り付け可能。
デメリット:
- 固定力が低い :熱圧入に比べて固定力が低い場合がある。
- 樹脂の選定が重要:特定の樹脂には適さない場合がある。
- 緩みやすい :樹脂は粘弾性材料であるため、クリープ変形が起こる。
これにより締め代が減少し、緩みやすくなる。 - 不具合の原因 :ダッヂインサート以外の成形後圧入用インサートナットの場合は下穴に強引に圧入するため、常にプラスチックに応力が発生し、クラック等様々な不具合の原因になります。
まとめ
インサートナットの取り付け方法について少しだけ詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
同時成形、後圧入、冷間圧入と、それぞれの方法には独自のメリットとデメリットがあります。どの方法が最適かは、使用するプラスチックの種類や用途、必要な強度によって異なります。
おさらいすると:
- 同時成形用インサートナットは高い強度と一体性を提供し、振動や衝撃に強いです。
- 後圧入用インサートナットは成形段階での生産性が高く、成形設備の汎用性が上がります。
- 冷間圧入用インサートナットは特別な設備が不要で、熱硬化性樹脂にも簡便に取り付けられるのが魅力です。
もし「どのようなインサートナットが自分のプロジェクトに最適か?」「圧入作業がよくわからない」「圧入がうまくいかない」等とお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。私たちは豊富な経験と知識を持ち、お客様のニーズにぴったりのソリューションを提供いたします。
ご相談はお早めに!
どのインサートナットが最適か判断するには、専門的な知識と経験が必要です。当社はお客様の製品に最適なインサートナットを提案し、取り付け方法についても詳しくサポートいたします。少しでも疑問や不安があれば、ぜひお問い合わせください。お客様のプロジェクトを成功に導くためのパートナーとして、お手伝いできることを楽しみにしています。

