製品の組み立てや設計の現場で
「インサートナットがなんだかうまく固定されない…」
「ねじを締めたらナットが浮いてきた!」
なんて経験、ございませんか?
それ、もしかしたら「ジャッキアップトルク」が原因かもしれません。
当社へのお問合わせで、非常に多いご相談の1つです。
しかしながら、お問い合わせをいただくお客様の中には、「ジャッキアップトルク」という言葉を初めてお聞きになる方も少なくありません。
今回は、インサートナットを設計するときに意外と見落としがちな“ジャッキアップ”の原因と、その対策についてわかりやすくご紹介します。
インサートナットをご検討中の方や、既にご使用中のお客様にもお役立ていただける内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
よくあるご相談をもとに
「ジャッキアップトルクとは何か?」
「どうすれば防げるのか?」
動画でわかりやすく解説いたしました。
ぜひ、設計や選定のヒントにお役立てください。
1. ジャッキアップトルクとは何か?
「ジャッキアウトトルク」とは、インサートナットがある一定の条件で締結されている状態に場合、締結するネジの軸力により、ナットが抜けてくる現象(ジャッキアップ)を指します。
このネジの軸力によってナットが抜ける。という事がポイントです。
本来、インサートナットはしっかりと樹脂などに固着され機能を満足するべきですが、取り付け条件が適切でない場合、締め付けトルクによりナット自体が浮き上がる・抜けてしまうことがあります。

2. ジャッキアップが発生する条件
インサートナットが抜ける(ジャッキアップする)原因は、「取り付け条件が適正でないこと」にあります。
ナットが正しく固定されていないと、ねじ締めの際に回転や引張りの力がナットに伝わり、その力がナットの外側に向かって逃げようとします。これがインサートナットを浮き上がらせる力となります。
これが「ジャッキアップトルク」理屈です。

3. 注意が必要な状態とは?
インサートナットが抜けてくる。こんな現象が発生したら以下の項目をチェック
1. 穴径が大きすぎる場合
締め付けられる相手材の穴径がインサートナットの外径よりも大きい場合、インサートナットと相手材が接触しません。そのため、ねじを締めてもナットに反力がかからず、トルクがすべてナットを浮き上がらせる方向に働いてしまいます。
→ 結果:ナットが抜けてしまう可能性が高くなり、不具合を発生させます。

2. 柔らかいものが挟まっている場合
パッキンやシール材など、柔らかいものがインサートナットと締め付けられる部材の間に挟まっていると、締結力が分散され、ナットにしっかりとした反力が働きません。これもジャッキアウトの原因になります。
パッキンやシール材など柔らかい部品は注意が必要です
→ 結果:ナットが徐々に抜け出すことがあります。


4. ジャッキアップを防ぐための対策
ジャッキアップを防ぐには、以下のような対策が有効です:
①適正な下穴径で使用する
インサートナット外径よりも小さい穴に挿入することで、確実に相手材と接触させます。適切な下穴を設計することが基本かつ一番重要です。
インサートナットの種類により下穴の仕様が異なりますので、注意してください!!

インサートナットの下穴設計の寸法については、東海物産(株)のカタログに記載がございます。
下穴設計についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

②フランジ付きナットを使用する
接触面積の大きいインサートナットを選定することで、抜け方向への力を効果的に分散させることが可能です。フランジ付きのインサートナットを使用し、インサートナットの接触面や面圧を大きくする必要があります。フランジ付きインサートナットにつきましては、東海物産株式会社のカタログ、ならびに各インサートナットメーカーのカタログをご参照ください。
設計が許す限り、接触面を大きくする事で大きな対策効果を得られます。




なお、既存のラインナップにご希望の仕様がない場合は、特注対応による設計も承っております。どうぞお気軽にご相談ください。
③ 部材の排除または補強
パッキン等を使用する際は、ナットが直接硬い材料に接触するよう設計を見直しましょう。
止水機能を持たせたい場合などでシール材などを使う場合も要注意です。

場合により、パッキンなどの柔らかい部品は、除去する事を検討してください。

④ トルク管理
インサートナットをご使用の際は、必要以上に強いトルクで締め付けることは避け、製品や材質に応じた適正なトルク値を守って施工することが重要です。これにより、ナットの抜けや樹脂部の損傷といった不具合を未然に防ぐことができます。
必要以上のトルクで締め付けるとクラックの原因にもなります。ご注意ください。


5. まとめ
インサートナットのジャッキアップトルクは、設計や取り付け条件によって防げる現象です。以下のポイントを押さえることで、抜けのリスクを大幅に軽減できます。
- 相手樹脂材の下穴設計を適正に
- 柔らかい部材の使用時には注意
- フランジタイプのナットも検討
- 適切な締付けトルクを守る
インサートナットの性能を十分に発揮させるためにも、事前の設計段階から注意深く取り組むことが重要です。
当社ではインサートナットの設計から、選定まで適切な締結方法をご提案しております。
「ジャッキアップトルクで困った。。。」というお客様はお気軽にお問合わせください。

